《MUMEI》 コンバート リアリィ「続いてのニュースです。」 時刻は朝の九時六分。 「昨日未明にオンラインゲームを舞台にしたネットで、歴代に例を見ない類い稀なテロが日本の不法団体によって起こされました。」 昨晩のニュースから、この記事が耳に入ってこないものはない。 それほどに数奇なテロだったのだろう。 人質が自ら人質を志願してなっている、なんて言うテロは例を見ない。 「新聞もみんなこの記事しかない、か…。」 そして、この一面を飾る記事の事件に私の子供達、計三人は関与というか人質になっている。 それなのに、私と言う人間は。 「なんて記者向きの体なのかしら。」 自分の子供達が捕まっているのを、ラッキーだ、幸運とさえ思えてきてしまっている。 こればっかりはきっとどうしようも無いものなのだろう、と諦めをつける他ない。 「さて。」 今まで等間隔に響いていた私の足音が段々と遅くなり、足を止めた。 これから暫くは特定の人間を追う事になるだろう。 そう、矢吹 慶一郎を。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |