《MUMEI》

とりあえず自宅に着いたら、高校の友達と電話で話した。

今日死ぬんだ、とは言わなかった。

ていうか、普通に言い忘れた。

たぶん。

久々に高校の制服を押し入れから堀り出して、自分にあててみたら、似合わなすぎて腹を抱えて爆笑した。

年とったんだな、なんて思った。

まだあのときから二年しかたってない筈なんだけどな。

少しだけ、いつもよりも控えめにおしゃれをして、お財布持って家を出た。

東京の街は歩くとどんどん景色が変わっていく。

だから、電車をおりた後の景色は眩みそうになった。

緑と茶色と青で構成されたその景色は、懐かしいよりも古いを思わせる感じだった。

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