《MUMEI》

「お母さーん、ただいまー!」

ノックもインターホンもせずに懐かしい家に勝手にあがりこむ。

私の家だし、いいかなって。

インターホンが微妙に遠くて見つけにくいので、ある意味はないと思う。

「あらぁ、帰ってきたんだ。どうしたん?とりあえずリビング座っとって。」

臨機応変なお母さんはキッチンからひょこっと顔を出して、またすぐに見えなくなった。

まったく、人が死ぬってのに。

そんなことを思いながら、顔に少し出しながら。

手軽な荷物を玄関に置き、慣れた足でリビングへ向かう。

これまた所々の破けたソファに感動し、ゆっくりと近づき、ゆったりと座った。

こりだよ、うん。わかっとるなぁ、このソファ。

などと頭の中で語る。

やっぱり実家が一番だ。

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