《MUMEI》

私はきっちり一時間したら、実家を出た。

お母さんにはいつもと同じように別れを告げた。

「うん。体に気をつけてね。じゃあね。」

またね・って言いそうになって、やめた。

近所にいた老犬のマルは、変わらずに庭で眠そうにこっちを見てた。

だるそうなその顔も、昔はイキイキしてた時が確かにあったんだけどな。

やっぱり、時間ってすべてを変える。

だからいやなんだ。眠るの。

起きたらもう明日が来ちゃうから。

そんなことを考えてから、コンビニに寄った。

ここ付近でひとつしかないコンビニエンスストア。

冬季限定のフゥンタがあって安心した。

飲んだけど、やっぱりグレープの方が美味しいな、と思った。

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