《MUMEI》 channel メガネくん誘拐された。 泉質の良い温泉で、犯人が居ない隙を見計らって何度も入る。 俺の部屋には毎日何回も電話が掛かるし帰ってきたら帰ってきたで面倒臭い。 ご機嫌取りに色んなゲームとか本とか贈り物を渡してくる。 そんなので遊ぶ気にはならないし、一人で与えられた参考書を読みながら勉強していた。 玩具は何度も返しては幾つか押し付けられて、部屋はモノで溢れてしまう。 そんなもので許されるなんて思っているのかな? 連日撮影で、帰ってくるなり布団に飛び込んで俺を抱き枕にして眠る。 小さな寝息を立てて、起きたらまた温泉に入りたいとか仕事行きたくないとか、ゴネ始めるんだ。 黙っていれば、 きれいなかお。 ばか。 ばかばか。 どうして俺なんかのこと好きになったの。 足手まといになるなら、一生振り向いて貰えないままでよかった。 ほぼ毎日近くで会えるのに寂しくなってる。 先輩のこと好きなのに、幸せじゃない。 この、逞しい腕の中で俺の不安は育まれてゆく。 そうだね、もう一回お風呂に入ってスッキリしよう。 腕をすり抜けて、フラフラと浴場に向かった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |