《MUMEI》
台風
ざあざあと雨が降っている。台風が近づいているとニュースでやっていたのでそのせいかと、特に気にするでもなく布団に潜って雨の音を聞いていた。
布団に潜り雨音を聞いているといつの間にか2度目の眠りについていた。そして夢を見た。遠い昔、家族みんなでお姉ちゃんの誕生日を祝ったときの夢だった。この日は私たち家族にとって大きな変化をもたらした日で、これからも続くと思っていた日々が崩れ去った日。

その日は学校から帰ってくる姉を両親と幼稚園に通っていて早くに家にいた私とで待っていた。その日も台風が近づいていて姉はいつもより帰るのが遅かった。
「おねちゃん遅いよぉ〜。まぁ子はやくお祝いしたいのにぃ…」
早く祝いたかった私は駄々をこねて、それを見兼ねた両親が
「確かに遅いわねぇ心配だわ、パパ、迎えに行った方がいいんじゃないかしら。」
「台風も近づいてるしな、迎えに行くか。」
と姉を迎えにいくことになった。私ははやく祝いたくて早々に両親を笑顔で送り出したのを今でも覚えている。でもそれが間違いだった。あの日、両親は車で姉を迎えにいく途中事故にあい冷たくなって家に帰ってきたのだ。即死だったそうだ。



作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫