《MUMEI》
第1章〜魂の白刃〜 第0幕 プロローグ
「彼」が支配する劣悪な世界。人々に希望の光など、ない。あるのは絶対的な力の前での…“恐怖”ただ「彼」が目の前にいるだけで、力なき民は地に伏せる。明日も生きるためにただ「彼」の成すがままに動くだけ…そこには自由や平等などの関係など一切なく、ただ「彼」に従わなければ生きられないと本能に語りかける圧倒的で、絶望的で、暴力的かつ一方的な“恐怖”「彼」こそが正義「彼」こそが全てのこのような糞ったれなこの場所“WORLDS・THE・TERROR”略称“W・T・T”の本部…といっても此処しかないが。そこからの脱走に成功した。幼い頃からの戦闘訓練と人体実験。「彼」の非人道的な思想の教育。それは、人々を恐怖により支配すること、複数ある世界。その全てを手にする。それだけに扱う“駒”として俺達は生かされた。毎日のように「彼」の思想の教育、戦闘訓練、人体実験。人としての扱いなど一切されず、ただの目的を達成させるための“駒”として過ごす日々。それは幼なじみの葵も受けてきた。俺は2番目の実験体、葵は3番目の実験体。俺は“セカンド”と呼ばれ、葵は“サード”と呼ばれていた。だが、その名は捨てる。
「“空間術”!」
真夜中。皆が寝静まる頃に脱出する。葵をおんぶした。彼女の純白の髪が俺の肩にふわりとかかる。その体勢で使用したのだ。空間術とは、ありとあらゆる空間を操る術だ。それを利用し、人が入る空間を使用者の目の前に出現させ、異世界へ渡る技術。それは、“次元渡り”と呼ばれる。俺らWTTと奴が利用できる便利な技術だ。ちなみに、行ける世界は不明、安全な場所に着けるか不明のため、よほどなことが無い限り使用しない。目の前にゆっくりと出現した縦長な球体状の黒い渦。それが異世界への通路。一寸先は闇を絵にかいたかのような光景だ。捕捉すると、俺は次元渡りを初めて実行した。それなりにびっくりしている。この思考は幼なじみのWTT専用の制服を改造したゴスロリが恥ずかしいからくる現実逃避だ。そういう俺は上着を着物風に改造(ちなみに黒)下は黒のながズボンのため葵から
「恥ずかしい格好だからやめてよ〜。」
と、よくからかわれる。いや、葵よ。お前のゴスロリはさらに恥ずかしい。 葵はさらにオッドアイを隠すために眼帯をつけている。並ぶとあら、不思議。とっても怪しい二人組の出来上がり。全然嬉しくねえ。
「下らないこと考えてないで行くか。」
自由を手にし、俺はなにを得何を失うのか。そのときの俺は何一つ考えてなかった。

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