《MUMEI》

「だいたい、こんなブスの私に誰が言い寄るのよ」
瑞穂とは、教科棟の渡り廊下で別れた。
たいした色気もない、スタイルもよくない、人を癒やせない
綺麗じゃない、かわいくない、美人じゃない
性格も冷めてて、甲斐性なんてない
男なんて死ねばいいと思う
いちゃつくカップルなんて見ててイライラする
「恋愛なんてばかばかしい」
「なんかいったか」
「ふ、藤井」
「なんだよスゲー驚いてんじゃん」
「おどろくわよ、ふつうそんなところに現れたら」
「なあ、理沙あいつのことほっとけよ」
「あいつって誰よ瑞穂」
「明日香」
「ああ、後輩ねどうでもいいわ」
だいたい、こいつ自体好きという
女子は馬鹿だ
「あんたはさ、恋愛する基準って性格みる、容姿を見る」
「おれか、俺はな、両方だよ」
「あんたにしては珍しいね」
「なんだ、俺が面食いに見えたのか」
「うん」
「ていうかさ、俺自身そんなに女相手に恋愛感情なんて抱いたけいけんはありません」
「まじで」
「俺が、本気でこいしたのは、瑞穂とお前だけだ」

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