《MUMEI》

「でも、松下さんのおかげでこの少女漫画の売れ行きはますますよくなっている」
「態度は残念なんだがな、この売り上げ記録は過去最高だ」
「まあ、松下先生もこれから、漫画家としての自覚を持つでしょう」
「先生」
また、きた
女子中高生らしき追っかけが
「なに、もう暗いんだから早く家帰んなよ」
「サインください」
「は、あたしお手製のサインなんてないよ」
「えー」
どいつも、こいつもうざい
もしも
今頃私が
普通の大学にいって
あの人がいる
楽器やで働いてたら
「でも、応援してます」
こんな、苦労や
「なに、いってるんですか先生の漫画を楽しみにしてる」
プレッシャーに追われなくて
済んだんだ

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