《MUMEI》
試合
相手は本当に弱かった
だが、怪我をさせるのは得意だった
紅は試合には勝ったものの
左足の小指を思い切り踏まれ
骨にひびが入る怪我をした
保健室で由香、烈、秀が集まっていた
表に出てるほうが痛みを感じるということで
紅が勝手に勇を抑えていた
「勇、大丈夫?」
「別に……」
紅は顔を伏せて目を見られない様にしている
烈がそれに気付いたのか
「由香と秀は外に出ててくれ」
「どうして?」
「話があるから」
「わかったよ部室で待ってる」
由香と秀が部屋を出ていく
烈が
「なんで勇を出さない?」
「感覚は表にいるほうだけにあるみてぇでさ
 俺がミスって怪我したのに怪我だけ残す訳にはいかない」
「勇は、なんて?」
「代われって」
「勇は怪我程度じゃ怒んねぇだろ
 あいつは二重人格が
 ばれるほうがキレるぜ、きっと」
紅がすぅっと息を吸うと
目の色が元のこげ茶に戻った

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