《MUMEI》
「ま、まあ…まだ19なんだから、な?はは…ほら、飲め!」
俺は置きっぱなしのグラスにビールを注いでやる。
まー男子高出身だって聞いてるし、大人しい子だからモデルの女の子にも声かけらんねーのかな??
すると裕斗は俺が注いだ途端グイグイと一気に飲み干してしまった。
「はー…おいひい…」
「本当お前いくなあ…、ほれ」
俺はまた注いでやるが、グラスの途中で缶が空になってしまった。
「あ、取ってくる…」
俺が立ち上がろうとすると、裕斗が先に勢い良く立ち上がった。
「お、俺が取ってきまふ!」
そしてフラフラとしながら足を踏み出す。
「わ、アブねーから座ってろ、俺が行く!」
裕斗の今にもひっくり返りそうな様子に俺も慌てて立ち上がる。
「平気…、平気…」
「いーから大人しく座ってろって言ってんだろうがッ!!!
……あ……」
俺は思わずきつい口調で言ってしまった。
裕斗はびっくりした表情で俺を視ている。
「あ、ゴメン…」
すると裕斗はその場でペタンと座り込んでしまった。
・
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫