《MUMEI》 強引な手段1ホテルに戻って来ても、まず何から考えたらいいのか、それすらもはっきりしない、そんな感じだった。 さっき山本とした答え合わせも本当のことを言えばズルだ。 私はほとんど何も分からない、そんな状況で山本と話した。 私が自分の考えをまとめる為に使っていたノートを見ればそれは一目瞭然だ。 山本が高科は殺していないと断言したから………そうなんだ……事実はそうだったんだ、って納得した。 そんなやりとりだった。 私の考えでは、共犯者がいるということも、掃除機が凶器じゃないかもってことも、それから何人も殺害しているんじゃないかってことも………全部可能性が残っていた。 ただ一つだけ分かっている事実。 私はそれだけを頼りに山本と話すことにした。 −−それは山本が私に求めていることがある。 ただこれだけ。 それはとても大事な情報。 何故なら、山本は私に何かを伝えたかった。だからそれを気付かせる為に努力する。 そう、それが今回の山本に対して抱いていた数々の疑問。 調査期間を延長するのも、突然打ち合わせ内容を変えるのも、高科に対しての接し方が不自然なのも、全部山本が私に何かを気付かせる為。 そう、だから私は一生懸命考えた。 ……だが、答えには至らなかった。 ならどうするか。私はここで強引な手段に出ることにした。 前へ |次へ |
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