《MUMEI》
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@ナツさん
本当ですか!ありがとうございます!私たちは、オリジナルのロックバンドをやりたいと思っています。連絡先を載せておきますので気が向いたら連絡下さい。
すごいなこいつ、すっげえ無防備、バカのか?見ず知らずの僕に個人情報をさらけ出して大丈夫なんか?人信用しすぎなんじゃね?とにかく電話してみますか。
呼び出し音

「はい、飯嶋です」「えっとナツです…タラチャンさんです……よね?」
「本当に電話くれたんですか!嬉しいです!」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます。えっと、タラチャンさん一つ質問させていただいてもいいですか」
彼女は笑いながらこう返してきた。
「ええ。あ、そうだその前に私のこと佳奈って呼んでください」
またである。そんなに簡単にこっちに情報与えてどうする。どこからそんな信用がでてくんだ?ぼくは今までほとんど人を信用したことがなかった。信用するなんて馬鹿げている。小さな時にすぐ帰ってくるからちょっとお留守番お願いねと母に言われて待っていたら、帰って来なかった。父が母に暴力を振っていてそこから逃げるために出ていったと分かったのは母に捨てられてからだいぶたってからである。もう嫌だこんな人と話していたってまた裏切られるだけだ。僕は、電話に向かって「あなたとはもう話したくない。バンドの話もなかったことに。」と、言おうとした。だが電話の向こうから泣き声が聞こえてきたときは、自分がいつの間にか口に出して相手を泣かしたのかと思ったが、そんな記憶はなかった。「なんかありましたか?」一応聞いてみてから思ったが、さっきの発言をしていたらもっと泣かせてしまうだろうにそんなセリフを考えていた僕には、そんな風に聞く資格なんかなかったと思う。

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