《MUMEI》

ク「……私はっ……っ!」
「?……クロード?」
ク「……っ…、…!」
「!…まさか、声を」


急に喉をおさえたクロードの声はなく、口はパ
クパクと動き声を出そうとしているのだろうが
かわりに息の音だけだった。


「……呪縛か」
ロ「呪縛!?で、では……」
「クロードが話そうとしたらそうなったとなれ
ば、声が出せない呪いをかけられていたのは間
違いないな」
ロ「シド様の魔法でもダメなのですか?」
「呪いは基本的かけた本人しか解けない。……
だがこれで裏に誰かがいることは分かった」
ゼ「そうだな。声以外は何ともないのか?」
ク「……」コクリ
ロ「呪いをかけるほどですから、よほどのこと
でしょうね。シド様の魔法でもダメとは……」
「!…魔法」


ダメ元でクロードに魔力を通じて言葉を届けて
みると、クロードはハッと驚き、俺の頭に恐る
恐る返事をするクロードの声が響いた。


「初めてやったが出来たな……」
ロ「シド様?」
「今、魔力を通じて話せるかやってみたら通じ
たようだ」
ロ「本当ですか!?」
「あぁ、話に集中するから暫く話しかけないで
くれ」
ロ「はい」


クロードに向き直り、集中するため目を閉じた。
クロードに魔力を飛ばした。

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