《MUMEI》
ちょっとした閑話
二年後、ある程度一段落した俺はロイドに玉座
の間に呼び出された。さすがに玉座に座るのは
早いかなと思い前の階段に腰を降ろした。正面
の扉から続々と人が入ってきて次々に整列し出
したのに驚いた。


「どうしたんだ急に……?」
ロ「ガーディスがいなくなった今、王位継承者
はシド様しかいません。それを見越して王権の
立て直しをお願いしたいのです」
「立て直しか…確かに…」
ロ「が、その前に……何故そんな所に座ってい
るので?貴方様には玉座に座ってくださらない
と」
「い、いや……」
ロ「座ってください、ね」
「……分かったから凄むのは止めてくれ」


言われたように玉座に座った俺に恭しく頭を下
げる人々に慣れないからかどこかいこごちが悪
く感じた。


「……では、まず自己紹介をしなければな」
ロ「は?」
「素性ね知れない者を王だから敬えなんて言っ
ても意味がないだろう。信頼関係を作るために
も先ずは己の事を話すのが良いだろう?」
ロ「……シド様らしいですね」「では、私の名はシドヴィルグ・リドル・ディ
オマティス。見た目は幼く見えるが十五歳だ。
何か質問はあるか?」


そうたずねるがやはり誰も何も言わず戸惑うよ
うに周りを見るものもいた。


「気にすることはない。何でもいい……、そう
だな、そこの槍をもった君、何かないかい?」
兵「えっ!あ、え、えっと……好きな食べ物は
…なんですか…?」
「食べ物か!私はリカンの実(見た目リンゴ、
味はミカン)が好きだな。じゃあ次は君達の事
を知りたい。だがその前にこの中に私を王と認
めない者は前に出てきて欲しい。一族でも個人
的でも構わない」


戸惑うように、或いは堂々と五名の者が出てき
た。


「では、右から順に名とその理由を言って欲し
い」
男「ならば私からですね。私の名はレオナルド
・リオス・コーティンス。見た目もだが十五で
は王にはまだ早いでしょう。玉座ではなく階段
に座るなど自覚が無い証拠では?」
男「俺はユーリウス・フェルナンド。見たとこ
ろ非力。そんなでは強国の名が危ぶまれる」
女「私はアナスタジー・ベル・ロメリアーナと
申しますわ。私も貴方の事を見て、周りの国々
はどのように思われるかしら」
女「アンジェリカ・リュドヴィッヒと申します。
まだ国の事もあまりご存じ無いでしょうから、
もっと国の事を知ってからでも遅くはないので
は?」
男「フィリップ・L・バルトロメアスだ。魔術
が使えるのは知っていますが、ちゃんとコント
ロール出来なければ民を危険にさらすだけです
よ」

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