《MUMEI》
ちょっとした閑話2
「成る程、レオナルドは王としての器と自覚、
ユーリウスは武術、マダム・アナスタジーは他
国との外交、ミス・アンジェリカは国の知識、
フィリップは魔術ですか。確かに私を知っても
らうために丁度良いですね。まずマダム・アナ
スタジーの件はすぐには解決し無いでしょうか
ら、取りあえず後に回しても構いませんか?」
アナ「宜しくてよ」
「ありがとう、マダム。ユーリウス、ミス・ア
ンジジェリカ、フィリップの三名の件はこれより
対決をして証明することにしましょう」
ロ「シド様!?」
「レオナルドはその結果を判断してもらいます。
宜しいですか?」
レ「は、はぁ…」
ロ「ちょっとシド様!?」
「ロイド」
ロ「っ!……分かりました。皆、場所を開けて
下さい!」
「まずは武術。ユーリウス、来い」
ユ「!……本気で?」
「民の申し出に答えることも王の役目さ」
ユ「……さようで」


玉座の前を円状に間が出来た中に入り向き合っ
た。ユーリウスは自前の剣、俺は兵士から借り
た剣を構えた。


レ「はじめ!」
ユ「では!……な!?」
「いかがした、ユーリウス?」

前世で培った武道の技術をなめないで欲しい。
ユーリウスも剣術は出来るようだが私にしてみ
れば、女子剣道の技のほうがよっぽど早かった。
まぁ男子剣道の最強と言われた兄に毎日しごか
れたからかもしれない。剣を受ける一方だった
が隙をついて足払いをかけ、倒れたユーリウス
の首筋に剣を当てた。


ユ「っ!?」
「備えるべきは剣だけではない」
レ「しょ、勝者、シドヴィルグ様……」


俺が勝つとは思わなかったのだろう。シーンと
静まり返った。剣を帰そうと後ろを向いた時―。


ユ「っクソが!!」
ロ「シド様!?」


ユーリウスの剣には血が伝っていた。俺は切ら
れてピリピリと痛む頬よりユーリウスを睨み付
けた。


ユ「な、何だ、その目は!呆気なく負けた俺を
さげずんで……」
「たった今勝者が決まり、決闘は終わったと言
うのに、それも背後からとはそれは卑怯者のや
ることと相違無い。貴様は剣士としての誇りが
無いのか!!」
ユ「っ!?」
「皆にも言っておく。確かに強国と言われてい
るがそれは戦士としての誇りと意思を持ってい
たからこそ成り立つもの。それをこのようなこ
とで強国としての誇りを失うことがないように
日々精進せよ。ユーリウス、今回は許す。私に
挑みたければ段階を踏んでから来い。お前の力
を見せにな」
ユ「……参りました」


静かに頭を下げるユーリウスの姿を見て、その
場にいた殆どのものは考えを変えた。その後、
知識対決では他国のある程度の知識、領土の村
や町の状況など事細かに話すと、ミス・アンジ
ェリカは目を丸くした。魔術も問題なく終わり、
マダム・アナスタジーの外交も色々あったが合
格。レオナルドも最後には頭を下げてきた。五
人とも認めてくれたようだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫