《MUMEI》

「魔力は吸いだしたからもう大丈夫だろうが、
一応クロードに見てもらったほうがいい」
「わ、かりまし、た」


未だに動揺を隠せないイズモをクロードのもと
に行かせ、先ほどの報告を頭の中で整理する。


王国の復活。しかし、時間が止まり、シールド
が張られ、触れれば膨大な魔力が流れてくる。
もし、イズモでなく一般人が触れていたら魔力
を抑えられず勢いのまま破裂していただろう。
そもそも何故今、王国が現れたのか。それもそ
の状態で。「ノビルーニオの真実」が分かれば
何か分かるかもしれないな……


ロ「……ま!シド様!」
「っ……ロイド?」
ロ「先程から呼んでいるんですよ!考え事です
か?」
「ちょっとな。それでお前は?」
ロ「王国の現状の方はイズモが調べているため、
私は王国の過去の事や国内にそれを知るものが
いないか調べました」
「いたのか?」
「実は一人だけ。しかもその方、ハーフエルフ
で国内に隠れて暮らしていたようです。クロー
ドと似たように我々に不信感を少なからず感じ
ていて、クロードと説得してやっと信じてもら
えました」
「そうか……ご苦労だった。それでその彼は?」
ロ「クロードの部屋にいます。客間を用意しま
したが、同じハーフエルフのクロードの部屋が
いいと」
「ハーフエルフの闇は根深いな……それほど辛
い目にあってきたのだろう。その者に会おう」
ロ「はい、此方です」


クロードの部屋は几帳面な性格通り、実験道具
や薬草、薬品、書き貯めた記録書などは決めら
れた棚に整理されて置かれ、中央に大きめの机
があるが、棚に入りきらない道具や積み重なっ
た書類で半分以上が埋まっていた。奥の方にベ
ットやタンスがあるが、家具やファッションに
は興味ないようで必要最低限の物しかない。久
しぶりに来たが以前より手狭に感じたため、今
度広い部屋を用意しようと思った。中央の机に
クロードと、もう一人いた。見たところクロー
ドより年上の青年くらいで、フードを被って顔
は隠しているが銀色の髪が見えた。


「彼が?」
ク「はい。レイアークさん、彼が陛下です」
レ「……彼が…?」


レイアークと呼ばれた彼はこちらを向くと隠れ
ていた水色の瞳が見えた。その瞳は疑心を滲ま
せていた。

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