《MUMEI》

「初めて御目にかかる。このような姿だが、私
がこの国の王であるシドヴィルグだ」
レ「……確かにそのようだな」「疑わないのか?嘘かも知れないというのに」
レ「貴方から二つの魔力を感じる。貴方は王国
の魔力に触れましたね」
「!……確かに間接的ではあるが触れた。恐ら
くは吸いだした魔力が残っているのだろう」
レ「あの魔力に触れて平気なものは王国の先祖
と同じように神を先祖に持つディオマティス帝
国の王家の者だけ。この国にいる王家の者は皇
帝しかおりません」
「流石だな。名は何という?」
レ「レイアークと申します」
「ではレイアーク。貴方はランドルシア王国の
事、「ノビルーニオの真実」の事で何か知って
いるのは間違いないな?」
レ「ええ、こう見えてあなた方人間と違って長
生きしてますからね」
ロ「っ!」
「そうだろうな。それが君達の良いところだか
らな」
レ「……貴方は私達のようなハーフの者をどう
思いますか」
「そうだな。生きる者の一人だな」
レ「それは、どういう意味ですか?」
「この世界に生まれた1つの命であり、特殊な
能力を持った者さ。勿論にこれは人間も同じだ
と思っている」
レ「ハーフの者と人間が同じだと?」
「勿論さ。同じ生き方では無いこともあるが全
ての者に言えるのは一人一人意志と心がある事
さ。皆違って皆良い、純血もハーフも人間も様
々な種族には様々な力や能力があるけれど、そ
れは特徴であって忌むべきものではないはずだ。
皆一生懸命生きているのは同じさ。違うかい?」
レ「貴方は変わっている」
「貴方は素直だ」
レ「!?」
「ほら今も素直に驚いている。君もちゃんと心
がある一人の人間さ」
ク「言ったでしょう。陛下は種族ではなく本質
を見てくださると」

レ「……そうだな」


先程まで緊張した堅い口調が少し穏やかになっ
たレイアークは深く被っていたフードを取った。
銀色の髪は後ろで高く結われ、端正な顔立ちに
水色のキリっとした目がクールな印象があり、
クロードとは違った大人なかっこよさだった。


「良かった」
レ「何がでしょう」
「貴方がフードを取ってくれた事です。壁があ
るのは嫌いなんです。それにクロードとはまた
違った美しい顔が見れたのが一番良かったです」
レ「なっ///」
ク「シド様って本当に天然タラシですね」ヒソ
ロ「容姿が子供なのがせめてもの救いですよ」ヒソヒソ


無自覚なシドは顔が赤いレイアークを心配そう
に見ているのを二人は密かに溜め息をついてい
た。

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