《MUMEI》

ルワンダの町を西に行くとカナデラ山脈の鉱山
がある。大陸全体に広がる大きな山脈の反対側
にランドルシア王国があるため、王国に行くた
めには山脈に掘ったトンネル「ロックスポール」。
名の由来である柱のような岩が連なるそのトン
ネルを通らなければ行けないのだが――。


「ロックスポールが通れない?」


ルワンダで一泊することになり、ゼスと地形に
詳しいクロードで小隊を作り、先に偵察に向か
わせていた夜。小隊の報告に眉をひそめた。


ロ「ロックスポールの入り口に薄い膜が張って
おり、触れても問題はなかったそうですが通る
ことは出来なかったようです」
「薄い膜……魔法で作られていたもので間違い
ないな。だが何故……」
ク「エルフの女王です」
「クロード……膜はエルフの女王が作ったとい
うのか」


戻ってきたクロードはシッカリと髪を結び、真
剣な顔で報告した。


ク「ハーフエルフでも分かるあの魔力の質は女
王のもの。女王の魔法には流石に敵いません」
ロ「何故そのような事を……」「俺達のように王国に立ち入ろうとする者達を
防ぐためだろう。しかし困ったな、他に道はな
いし、山脈を越えるのも、別にトンネルを作る
のも兵士の負担になるだけだ」ク「……一つだけ反対側に行ける方法があります」
「それはなんだ?」
ク「ハーフの集落の理想郷「セア・リアレーテ」
の事は前にお話ししましたね。私も暫くそこに
いたことがあるんです」
「それで?」
ク「その「セア・リアレーテ」。通称セア・リ
アはクランデリス大陸にあり王国と同じように
ここの反対側にあるんです。ハーフは人間を嫌
うものが多く、あちら側では途中関所を通らな
ければこちら側に行けないようになっていたた
め、関所を抜けず、こちら側に渡るため小さな
トンネルを掘ったんです」
「つまり、それを通れば向こう側に行けるんだ
な?」
ク「はい。その代わりセア・リアを通ることに
なります」
「しかし人間に知られず行き来するために作っ
た抜け道を私達に教えていいのか?」
ク「……セア・リアは部外者を嫌い、この抜け
道も本来、門外不出でハーフの種族にしか教え
てはいけないんです……」
「では、」
ク「私は陛下を信じてセア・リアの掟に逆らい
ます」
「!……ならば私も信頼に答えよう。教えて欲
しい、その抜け道を」

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