《MUMEI》

「つーか、フユカ。ミイラとりがミイラになってどうする。朝から漫画なんか読んでると、おまえこそ将来スネップになるぞ」

おれは漫画に熱中するフユカの顔を覗き込みながら、言葉を続ける。

「ちなみにスネップってのは、Solitary Non-Employed Personsの略な。要はぼっちの無職。スネップは旧型ニートの3倍の速度で死ねる。知らんけど」

が、調査兵団と巨人の戦いに夢中になっているフユカは無反応だ。こうなると、テコでも動かないんだよな。まあ、こいつがこういうオタク趣味になったのは、おれの責任によるところ大なのだが――

とそのとき、ふと気づいた。

つい数時間前、おれが「おれの嫁」に行為を強要したのと同じ場所に、フユカがちょこんと女の子座りしていることに。

少女の頭をがっしりと掴み、腰をふりまくる自分勝手で強引なオーラルセックス。昨晩の「おれの嫁」筒隠月子は、むせび泣きながら、おれの欲望を受け止め続けた。

乳首をいじりあいながら。変態さんですね!変態さんですね!を連呼させた。まだ生々しい手触りと記憶が残っている。

そんな淫猥な行為の痕跡は、いまやキレイさっぱり消えていて、フユカが知る由もないのだけれど。

例えば、いま、ここで。

福来フユカに対して、昨夜の筒隠月子へのそれと同様の行為を強要したらどうなるだろう、と。

ふと想像してしまった。

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