《MUMEI》

クロードの案内に着いていくと、ルワンダの町
と南のクランドル公国の間の小さな林に着いた。


ロ「この林の奥にその抜け道が?」
ク「はい。この林のお陰で抜け道は今まで見つ
かりませんでした」
「……分かった。ここにくる途中炭鉱の休憩所
があったな。人はいなかったからそこに兵を残
していく」
ロ「!!連れていかないのですか?」
ゼ「そうだよ!もし何かあったらどうするんだ」
「クロードやゼスが一緒だからとはいえセア・
リアの者が俺を認めるかは分からない……無闇
に人を連れ、抵抗すれば信用はしてもらえない
だろう。敵意が無いことや、抜け道の秘密を知
るものが少数であることを知ってもらうには…
…そうするしかない。」
ロ「しかし……」
「必要なのは許可だ。それをもらってからでも
連れてくればいい。……それとも俺が自分の身
も守れないとでも言うのか」
ロ「い、いえっ…むしろ」
「むしろ……?」
ロ「な、なんでもありません!(笑顔で人一人殺
せそうだなんて口がさけても言えないっ……)」
ゼ「いやぁ、シド様なら人一人殺せる力はある
でしょう」
ロ「(ゼスぅぅ――!?)」
「分かっているなら言わせるな。一旦休憩所に
行くぞ」
ロ「(あ、あれ……?)」
「何をしているロイド。なんならお前だけ……
お仕置きがいるか?(お前が思っていることな
んてお見通しなんだよ)」
ロ「…っ!?(き、気付いてたぁぁ!?)」


俺を見て複雑そうな顔をしているロイドは明ら
かに変なことを考えていそうだったため、笑顔
で最後の方を声を低くして言えばロイドは顔を
真っ青になった。それを見て少しだけ気が良く
なったのは静かにそれを見て、笑っているクロ
ードだけだろう。


休憩所にはやはり人気はなく、恐らくロックス
ポールが通れなくなったため、炭鉱作業が進ま
なくなったのが原因だろう。最近まで住んでい
た痕跡があったため、それほど片付けるほどで
はなかったが、暫く置いていく兵達のため、魔
法で建物を大きくし、一人一人休められるよう
にベットを作り、その他にも快適に過ごせるよ
うにした。が、俺がそこまで甘いわけがなく―
―。


「食料は自給自足!自分達でどうにかしろ。あ
と、日々の鍛練を怠るな!最近は戦もなく、国
を出ることも少なくなった。これを期に特別訓
練として暫くここで過ごすように!」
兵「わ、私たちだけでですか!?陛下達はどう
なさるのですか?」
「私達は先に行く。この先はお前達が共に行く
のは難しい」
兵「ですが!」
「私も大事なお前達をこのような場所において
いくのは心苦しいが仕方がないのだ。すぐにと
はいかないが必ず戻る。それまでお前達がさら
に逞しくなった姿を楽しみにしよう」
兵「陛下のご決断を否定するわけには参りませ
ん!必ずや今より強くなった我らをお見せいた
します!!」
「その言葉、期待しているぞ」兵「「「はい!!」」」


ゼ「あーあ、あんなに目ぇ輝かせて……俺の時
より素直だな、あいつら」
ロ「シド様には敵わないでしょう」
ク「親衛隊もあるくらいですからね」
ゼ、ロ「「…は…?」」
ク「おや、知らなかったのですか?女性にはそ
の見目が人気らしく、男性には人柄に惚れてい
るようで、国のほとんどの者が親衛隊なのです
よ」
ゼ「し、知らなかったぜ」
ロ「……いつの間に……」
ク「陛下も気付いてないようですからねぇ。因
みに私は親衛隊幹部です」
ゼ、ロ「「はぁ!?」」
ク「隊長はレオナルド様、副長はクラウディア
さんです」
ゼ、ロ「……(何やってんだよ、あの人ら)」

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