《MUMEI》

目を開けると、カーテンの隙間から漏れた僅かな光が自分を照らしていた。

見えた風景は美しい鳥が飛び交う空でもなく、色とりどりの花でもなく―
ただの天井。

ここは、僕のベッドの上だ。

つい先程までの風景が、夢だということを理解するのにそれほど時間はかからなかった。

美しい世界は、自分の微かな希望が生み出したただの幻想だったようだ。


「……」


もう一度目を閉じて、あの風景に思いを馳せる。

だけどもう、それにはモヤがかかってしまって―
もうわからない。


素敵な夢だった気がする。
さっきまで、それは鮮明だった気がするのに。

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