《MUMEI》
邂逅。
廃病院の手術室。
2年前の僕ら5人の、運命の場。
まだあの頃の出来事を鮮明に覚えている。
僕は深く深呼吸を行う。
これから僕はどうなってしまうかは、考えない。
ただどうするかを、考える。
…………行こう。
静かに扉を開いた。


あの2人は……いた。
2年経っていても忘れるはずのない顔。
品川廉《しながわ れん》。
目黒隆太郎《めぐろ りゅうたろう》。
あの頃の再現しているように、カードゲームをしていた。
「……よぉ。待ちくたびれたぜ」
品川が僕にギリギリ届くくらいの声のトーンで呟く。
「僕に……なんの用だ」
体が過剰なほど震える。
今の声だって、情けなく聞こえたに違いない。
「えらく怯えてんな。……俺達が怖いか?」
怖い。
お前達は僕らにとってトラウマなんだ。
本当はここに来ることすら怖い。
「まぁそりゃそうだ。2年前、あんな目に遭わせたからな。ましてやーーー」
目黒が続く。
「お前達の大切な友達、風影って奴を半殺しにした張本人だからな!」
この言葉で、僕の全身の震えは止まった。
やっぱり……こいつらが……!
だが、怒りが混み上がったと同時に、消沈した。
響介の未来を奪った奴らを目の前にしながら、僕は冷静沈着となった。
そして静かに膝を折り、頭を下げた。
所謂、土下座の姿勢。


「全部僕が悪かった……です。もうみんなには、手を出さないで下さい……!」

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