《MUMEI》
リンチ。
「…………はあ?」
土下座をしたことに品川は首を傾げた。
「お前、なにやってんの?」
目黒が頭を下げていた僕の髪を無理矢理上げる。
「……お願いです。僕はどうなってもいい。だからもうみんなには手を出さないで下さい……!」
「…………」
品川は目黒の横に立つ。
「お前、ツマンネエよ」
品川の左足の爪先が僕の腹部を貫く。
「んぐ……っ」
痛みに堪える。
「お願…………いで…………す」
僕の言葉一つ一つに品川は気に入らなさそうに僕を殴り続ける。
つまらない、つまらない、つまらない。
品川はただただそれを呟く。
僕は痛みを堪え、意識が飛ばないように歯を喰いしばりながら、懇願し続ける。
床が僕の血で染まる。
しばらくして、品川の腕が止まる。
「本当につまんなくなっちまったな、お前」
品川はまだ拳を握りしめている。
「風影って奴は化け物じみていてまだ楽しかったけどな」
「ああ、そーだったな!まさかあれから起き上がるなんて思わなかったわ!まあ返り討ちにしてやったけどな!」
響介を…………!!
怒りが混み上がる。
だがそれを表に出さずに堪える。
痛みよりも、怒りを堪える方がツラかった。
「…………まぁいいさ。これから楽しくするために、もう1人呼んだんだからな」
……なん……だって……?
キィィ……、と音がする。
誰かが、来た。
また嫌な予感がする。
あの人だけでは、ないと祈る。
だが、現実は非情だ。




「か、薫くん!?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫