《MUMEI》

紺色の表紙を開き、露になった何もかかれていないまっさらなページにさらさらと鉛筆で絵を描きはじめてゆく。

鉛筆を傾けたり、しつ圧を濃くしてみたり…

さらさらと、鉛筆が紙を擦る音も
鉛筆をいれればいれるほど吹き込まれてゆく絵の中の命も
何もかもが僕を魅了する。


…この時間が一番好きだ。

誰にも邪魔されない、否定されない、僕だけの世界。
そんなことを思いながら、感じながら、スケッチブックの中の世界を創成していく。


かれこれ2時間ほどたった頃だろうか。

そろそろ朝食を食べようと少年は一度スケッチブックを置いた。

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