《MUMEI》 日常キーンコーン 一時間目開始の合図が、煩く俺の耳に響いた。 担当教科の教師は今日もすました顔で教壇に立って、学級委員に号令を促す。 「気を付けっ、礼」 気合いのこもった挨拶を学級委員がすると、みんなが立って礼をして。 いつもの一連作業をみんな、心も無しにこなす。 俺も軽く礼をすると、早速机に頬杖をついて、窓の外を眺め始めた。 ここの席は窓際の一番後ろということもあって、何でもし放題だ。俺はこの席が好き。 「98ページ開けー」 俺は机の中から教科書とノートを引っ張り出すと、先生が言ったページを開く。今の授業は国語だ。 まともに授業を聞く気もないけど、それくらいしとかないともし何かあった時めんどくさいしやっておく。 先生がツラツラと教科書を読んでいく中、俺はまた窓の外に目を向けた。 校庭では、体育をやっていて―向こうでは、赤い郵便局のワゴン車が走っている。 道沿いに植えてある細い木々たちは西風に揺れていて。 なんら変わらないいつもの風景だ。 飽きもするけど、別にこの時間は嫌いじゃないし。 むしろ、至福の時とも言えるかもしれない。 前へ |次へ |
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