《MUMEI》 そんなことを考えている間にも先生は教科書を読み進めている。 教室は先生の声だけが響いて―、 外は穏やかで小鳥も囀ずっている。 平穏な光景だ、と思う。 何か凄く悪いことが起きるわけでもなく、だからといって特別いいことがあるわけでもない。 いつも通り、何も変わらない俺の日常。 ブーブー… すると、不意になったスマホのバイブ音が俺の思考を妨げた。 …メールかな? 先生をチラリと見る。 どうやら気づいてはいないようだ。 しかもタイミング良く、黒板にいかにも長ったらしい文章を書いているところだった。 俺はさっさと鞄からスマホを取り出すと、ロックを解いてメールボックスを開いた。 前へ |次へ |
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