《MUMEI》

俺はカフェを出ると、入り口に合鍵で鍵をかけ、openとかかれた札をcloseに裏返した。

入り口戸に鍵をかけるのは、最後に店を出た者と暗黙の了解で決まっている。

鞄のチャックの中に合鍵をいれると、俺は歩き出した。

ガタンゴトン…

遠くで電車の音が聞こえる。
これで終点なのだろうか。

まあそんなことを考えても、俺は学校にいくのにもバイトにいくのにも駅は使わないから関係ないのだけれど。

俺の家は学校にもバイト先にも比較的近い。
それは意図的なものだが、俺は家の近辺からあまり離れたくない主義なのでとても助かっている。

丁度そんなことを考えながら、曲がり角を右折している時だった。

家はもうすぐそこなのに、

いきなり視界の端から腕が伸びてきたと思ったら、鈍い音がすると同時に左頬に激痛が走った。

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