《MUMEI》
時の狭間
時の狭間の中は、なんだか寒色系の色が混ざりあったような風景の空間だった。

だがシンカは恐れることなくズンズンと足を進めて行く。

「…これからどこへいくんだ?」

俺はシンカに問うた。
するとシンカは歩きながら振り向いて言った。

「ですから、彼らの元ですよ。急かさなくても、後にわかります。」

「彼らの元…」

繰り返す。
彼らとは何なのだろうか。
そもそも、このシンカという女が敵なのか、味方なのかさえわからない。 


「そういえばひとつ。」

そんなことを考えていると、シンカが歩きながら人差し指をたてて言った。

「一応人違いがあったら困るので、聞きますよ。」

急に立ち止まるのでぶつかりそうになる。
だがそんなことも意に返さず、シンカはクルリと振り向いて。

そして、物凄く真剣な顔で、言った。

「あなたの名前は?」

その瞳は、真剣さを帯びていた。

「は、

……聖我 飛翔(セイガヒショウ)、だけど。」

沈黙。
勢いで名前を言ってしまったが、もし俺が人違いだったらどうするつもりなのだろう。

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