《MUMEI》 「彼ら?」 「はい。まー、とにかくついてきてください。」 そういうと女は、左手を空にかざした。 「…!」 思わず、目を見開く。 女が手をかざした先は、まるで空間が裂けたような謎の割れ目ができていた。 「驚きました? これは『時の狭間』に繋がる空間の裂け目。 『時の狭間』にいけば、どの時間にも、時代にも往来が可能になるのです。」 口をポカンと開け、立ち尽くしている俺を横目に、女は得意気にそういった。 「それから私のことはシンカとお呼びください。 それでは、いきましょう。」 女―シンカはそういうと、当然のように歩き始める。 俺は少し躊躇ったが、少し息を吐いた後、それに足を踏み入れた。 前へ |次へ |
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