《MUMEI》
彼らの元
光に満ちたところへ足を踏み入れると、辺りは眩い光に包まれ、思わず腕で目許をふさぎ、目をぎゅっと閉じてしまった。

真っ白なその空間は、何も無さすぎて、何処が上なのか下なのか、右なのか左なのか解らなくなってくる程だ。

果てしない…そんな感じ。
不思議な気持ちだ。

「さあ、もう目を開けていいですよ。」

しばらくすると、シンカの穏やかな声が聞こえて。

その声と同時に、あの眩い白い空間から抜け出したことが、瞼の下からでもわかった。

だけれど、俺はまだその瞳を開ける勇気が無くて。
自分が今まで知らなかった世界をいまから知るという、

その不安と、期待が
俺の決断を踏みとどませる。
それでももう、ここまで来てしまった。

「あれ?
まだ目開けてないんですか?

ほらほら、早く。」

シンカの声。
俺を急かすよう。

「……」

仕方なく、俺はゆっくりと、その瞼を開けた。

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