《MUMEI》

「……!」

まさに、未来、という感じだ。

ロボットなどが近くを行き来していたり、目の前にいる男は、上空に浮かんだコマンドを操作していたり。

また、服装も少し変わっていて、目の前にいる女性は青光しているラインの入った、灰色のスーツを着ていたりする。

他にも広場らしきところにおいてあるベンチやロボット、向こうには建物なんかも見えるが、殆どは灰地に青光のラインといったデザインだ。

「すげえ…」

「ふふふ、でしょでしょ?

それから…ほら、上空を見てみてください。

これが一番、あなたの時代とかけ離れているところですよ。」

「……!」

シンカに言われた通り、上空を見上げて見て、驚いた。

その上空に見えたのは、空ではなく、寒色系を混ぜたような色をしている天井だった。
その天井にはレールが取り付けられていて、ゴンドラのようなものが何かを運んでいる。

「驚きました?
今は夜だから天井の色は寒色系ですけど、昼に近づくにつれてどんどん暖色になってくんですよ。

今は見えないかもしれないけど、白い光を出すラインも出てきます。」

ふうん、という感じだ。
多分この言い様のない未来感からして、ここは間違いなく未来だろう。

それにしても。

「なんで天井?」

「ああ、この時代にはもう、地球は大気汚染が悪化してしまっていて。

約90%の地域では、人はシェルターの中で生きることが義務付けられているんです。

現在、酸素を人工的に作り出す機械が出来たから良いものの、そのお陰でもう一家に一台酸素タンクという状況で。

それにその酸素タンクを買うのにもお金がかかるし。
全くあなたたちの時代が羨ましいです…。」 

はあ、と溜め息をつきながら、シンカは言う。

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