《MUMEI》
恋人ごっこの始まり1
まぁまぁ学校生活も充実してきた6月。
私は、妙にキラキラした看板を見つけた。
【橘夕季様ファンクラブ】
と描いてある。ファンクラブって・・・あのファンクラブ?
どうやら、橘君がなかなかのイケメンだということが先輩達にも知られたようだ。
そりゃ女子人気も高いはず。
最近耳にするガールズトークも橘君のことばかりだ。
なかなか居ないよね、ああいう人。
カッコいいけど、クールで。
変わってるのかな?感情も顔からでは分からない。
私は思ってることが顔に書いてあるってよく言われるけど。
「なぁ」
「・・・」
「おい!」
「! ・・・はい! ・・・って橘君」
「ちょっと話がある」
「ん?」
「来い」
「え・・・ちょ、ちょっと!」
私は慌てて橘君の背中を追った。
これが、地獄の始まりだとは知らずに・・・。

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