《MUMEI》
愛鈴の蘇る過去 〜玩具〜
布団に入って思い返してみた。
私は、高校になってから変われたのだろうか?

苦しい。辛い。
辛すぎて、もう・・・涙も出ない・・・。
「さぁ・・・今日はどんな風にしようか?」
「もう、俺我慢出来ないんだけど!」
制服は乱れ、取り押さえられる私を見て、
男子達はそう言った。
私は・・・男子達の性欲処理のための玩具なのだ。
「今日こそ、中に出そうぜ」
「な・・・何するの・・・」
「愛鈴ちゃん〜? 妊娠しちゃったらごめんね?」
「! ・・・や・・・やめて! 働けなくなっちゃう!」
こんなことが世間に知れ渡ったら、マズいことになる・・・。
お母さんが・・・お母さんが悲しむ!
悲しむお母さんの顔なんて見たくない!
「あと、この淫らな格好、ネットに出しちゃおっか」
「そんなことしたら、俺らが捕まるだろww」
「そっかwww」
中学2年の時点で、私の処女は既に奪われていた。
お母さんにも、
「捧げるなら、ちゃんと好きな人に捧げなさいね」
と言われていたのに。
お母さん達を悲しませたくない、そう思って、このことはずっと喋れなかった。
「学校、どう?」
と聞かれても、
「うん、楽しいよ!」
と嘘をついていた。そうすれば、お母さんを安心させられる。
生活は苦しいからこそ、苦労はかけたくない。
今の現状では、私が働いて稼いだお金は、
積もりに積もった借金の返済に充てられる。
もう少しで完済出来そうなのだ。
もう少しの辛抱だ。
そんな時に、詐欺に遭った。
しなくても良かった借金をしてしまったのだ。
「お母さん・・・私、高校は諦めた方がいい?」
「え・・・?」
「私が中卒で、そのまま芸能人やってたら、少しは生活、楽になるよね?」
「高校、大学には行きなさい」
「え・・・」
「勉強頑張って、仕事も頑張りなさい」
「お母さん・・・」
「私はね、あなたが大学で楽しそうにするのを思い浮かべてるの」
「・・・」
「中卒なんて、ちっとも嬉しくないの。お父さんも、そう言ってたわ」
この時分かった。お父さんとお母さんは、私のことを分かってくれている。
ちゃんと将来まで見据えてくれている、と。
卒業まで性欲処理の玩具として扱われたけど、
高校になったら変わってやる、と自分に誓ったのだ。

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