《MUMEI》
抱いて。
彼女の顔が限界まで近づいていた。
これは……している……。
僕は今、キスをしている……!?
殖野さんは躊躇なく舌を入れてくる。
巧みな舌技で、僕の舌を殖野さんの口内へ移す。
なんなんだ……!この子は……!?
慣れているとか、そんなレベルは超えている。
もはやプロじゃないのか!?
殖野さんの手が徐々に僕のシャツのボタンを外していく。
僕の両腕は突然のことに体が追い付いていかず、機能していない。
しかもよく見ると、殖野さんは一糸纏わない姿だった。
「ここまでしてあげるから……誰にも言わないで下さいね」
殖野さんが囁く。
それと同時に僕の乳首をつまむ。
「ッ!」
声がでなかった。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!
この子ヤバい!!
まさか逆レイプされる日が来ようとは。
お、おお……お、落ち着け。落ち着くんだ活間晴斗。
僕には可愛い可愛い彼女いるじゃないか。
ようやく動いた腕で殖野さんの肩を掴み、引き離す。
「や、やっぱりダメだ!彼女いるし!君もそんなことしちゃ、ダメだよ!」
そこで初めて殖野さんの顔を伺う。
ニコリと、笑っていた。
「優しいんですね」
でも、と続く。
「誰でもいいわけじゃないんですよ?本当のことを言うと、あなたを気に入ったから、この状況を作ったんです」
「………………は?」
意味がわからなかった。
「人肌寂しかったんです。そうしたらあなたが見えて……一目惚れって、やつですかね」
「はあ!?」
「私、あなたが好きです。一夜限りでもいいんです。私を抱いてください」

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