《MUMEI》
同じことの繰り返し
朝、学校に来た私は、下駄箱の前で固まっていた。
上靴に画鋲、落書き。
・・・もう、帰ろうかな・・・そんなことも思った。
でも、ここで折れたらダメだ。
私は、ボロボロの上靴をそのままに、教室へと向かった。

ガラッ

「おはよう」
「・・・」
「・・・」
みんなの視線が痛い。
何で? 何でみんなそんな目をするの?
やめてよ・・・もう・・・そんなのはイヤだよ・・・。
席の近くに行くと、ヒドい落書き・・・を消している夕季がいた。
「橘君・・・?」
「ああ・・・おはよ」
「お、おはよう・・・あっ、落書き・・・消さなくていいよ」
「これ、学校の備品」
「消しても・・・また書かれるだけ。無意味」
こんなの・・・慣れっこだ。これぐらいじゃ私の心は折れない。
でも・・・落書きを消す夕季を見るのが辛い。
夕季は、学校の備品だからって消してるけど、そんなことしたら、夕季が嫌われちゃう。
理由は分からないけど、嫌われるのは私だけでいい。
「よく分かってるじゃない」
聞いたことの無い声に振り返ると、女の子が立っていた。
「あ・・・あなたは・・・?」
「私、花村香代(はなむらかよ)。あんた、アイドルでちょっと構って貰えるからって、調子乗ってないでね」
「わ・・・私、そんなつもりは・・・」
「じゃぁ、これは何!?」
数枚の写真を見せられた。それは、私と夕季が一緒に帰るところだった。
「何で・・・」
開いた口が塞がらなかった。これの何がいけないのだろう?
「そこの先輩、調子乗ってるのはあなただと思いますけど?」
「た・・・橘君・・・いいよ・・・」
「邪魔しないでもらえます?」
夕季が淡々とした口調で言う。
演技かもしれないけど、そこには微かに怒りがみえた。
「夕季様、何故その女を庇うんですか?」
「分かりませんか? 付き合ってるからですよ」
「え・・・」
クラス中が静まりかえった。
バラしてしまって、本当に良かったのか。
「愛鈴、行くぞ」
「え・・・ちょ、待って!」
これから一体どうなるのか・・・。

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