《MUMEI》
疑惑。
「……!」
目を覚ました。
目の前には、ミクちゃんがいた。
「大丈夫!?薫くん!」
心配そうにお……ぼくの肩を掴む。
「い……痛っ」
「あ……ごめん」
ぼくの体はボロボロだった。
動けばギシギシと痛む。
「ここ……どこ……だ?」
「ここは廃病院のどこかの部屋……。多分、手術室」
あぁやっぱり……。
沈黙し、俯く。
「薫くん……」
「そういやミクちゃんは……なんでここに?車で帰ったろ?」
「あ……か、薫くんからメールが来て……。ここに来いって書いてあったから……」
メール?
今日は朝、美鶴からのメールを確認してから、携帯電話を操作した記憶がない。
いつも携帯電話を入れている右ポケットをまさぐる。……無い。
そういえば、今朝急にぶつかって、何の詫びもなく走り去っていった男がいた。
そいつとは、右肩をぶつかった。
まさか……その時スられたのか……?
なんという失態。
つまり、ミクちゃんがここにいるのは……自分のせいか。
小さく、ちくしょうと呟く。
「ごめんな……こんな目に合わせてさ……」
「大丈……夫」
歯切れが悪い。
「ミクちゃん?どうした?」
怪訝な表情でぼくを見る。
そして、衝撃な発言をする。


「あなた……誰ですか?」


「…………は?」
今何て言った?
俺に向かって誰って言った?
「え……?なんだって?」
気のせいであってほしい。
「あなたは薫くんじゃ……ないよね?」

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