《MUMEI》

魔法により作られたテントは広く、楽に過ごせ
られるよう色々と揃っている。その中心に立つ
俺の言葉にベット、ソファ、カーペットに座る
三人の視線が集まっていた。



ク「幻覚の世界……?」
『歩いても目的地はおろか、進んでいるかどう
かも分からなくして、人を迷わしているんだろ
う。ゼスが見た人骨はその被害者。ロイドは俺
が膜を張っていたが俺達に比べて魔力は強くな
い。だからここの強い魔力に無意識に対抗して
いたため体力が減っていたんだろう』
ロ「……そう言えば砂漠に入った時から足が重
く感じていたんです。私はてっきり慣れない足
場のせいだと……しかしどうしてこの幻覚の世
界に入ってしまったのでしょうか?」
『この世界に入ったのは抜け道を出るときだっ
た』
ク「そんなっ私は間違った言葉を言ってしまっ
たと!?」


立ち上がり嘘は言っていないと言うクロードに頭を縦にふる。


『落ち着け、クロードの言った言葉は恐らく間
違ってはいなかった。だが目的の場所にはつか
なかった……クロードがセア・リアを出たのは
随分とたっているはず……分かるだろう?』
ク「!……言葉を変えたということですか……
しかし言葉を変えられるのは長のみ…」
『考えられるとすれば……セア・リアの長が変
えたか、なんらかの原因で長が亡くなり、その
後を継いだ者が言葉を変えたかだろう』
ロ「出来れば前者であってほしいですね。……
要因が分かりましたがどうなさるのですか?」
『言葉を誤った者達はセア・リアでなくこの精
霊により作られた世界に迷い込まされたんだ。
言わば牢獄のような場所。出るのは難しいだろ
うな……だが、なにか方法はあれはずだ』
ゼ「シド様の力でも無理か?」


期待するような目で見つめられるが首を降り、
テントに触れる。


『さっきクロードが制限があるとか言っていた
だろう。俺の魔法はこの空間内で出来ることだ
け。空間外、また探るような魔法は出来ないよ
うになっているのだろう』
ク「……確かに」
ロ「ではどうするのです!?こんなところにい
てはいずれ死んでしまいますよ!」
『……そういえばゼス、人骨を見つけたと言っ
ていたよな?』
ゼス「は?……あ、ああ」
『クロード、ロイドは大丈夫だな?』
ロ「平気です!!」
ク「この様子ではもう大丈夫そうですよ」



突然言われゼスは戸惑うように俺を見ていた。
自身ではなくクロードに容態を聞いたため、ム
スっとした顔のロイドをクロードは横目でクス
クスと笑っていた。


『(もしかしたら……)ではそこに案内してくれ』

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