《MUMEI》
救助
「負傷者の救助を最優先、さっきのリザードマンが戻ってきたらすぐに知らせて。」
「了解!!」
声を上げながら、右腕を確かめるように動かすごま。
かなりの深手、応急処置で包帯で縛ってあるのだが血が滲んできている。
「・・式夜も下がってちゃんと治療して来るんだ。」
「私はまだ戦えます。」
「式夜〜・・」
ごまの声に硬い声で応じる式夜の身体は傷が多数。
致命傷、というほど酷くは無いが軽視できるほどでもない。
「主人達が来るまでは・・ココに居ます。」
「それなら、もう問題無しだね。式夜、下がって。」
「主人・・」
ごま達に遅れること十数分、休暇を取っていた彩詩とバンプが駆けつけた。
「ごま、状況は?」
「きゅ〜・・変なのがココまで来たんだけど、一応追い払った。」
「まだいけるな?」
「もちろん、頑丈なのが取り柄きゅ。」
ごまの言葉に彩詩とバンプが頷き合う。
「ごま、私とバンプの二人で中を見てくる。」
「私も行きま・・」
「式夜はココで待機。」
「しかし!!」
「命令だよ、口答えは許さない。」
厳しい口調で言い切ると剣を抜きバンプと共に洞窟の奥へと向かう。
「・・彩、生存者が居ると思ってるのか?」
奥へと進み近くに騎士たちが居なくなったのを確認してバンプが尋ねる。
「・・・・第2階層までは行かないから。」
「了解。」
道端には多数の血痕や肉片が転がっている。それを一つ一つ確認しながら進んでいる。
洞窟の出入り口付近の惨状を見れば予想できていたとはいえ・・酷い状況。
「・・「首狩」か。」
「ごまや式夜があれだけの深手を負ったのから・・って誰か居るの!?」
聞こえてきたほんの微かな音に彩詩が声を上げる。

「・・どうやら助かったらしいな。守護騎士様だ。」
ロッシュの声に大きく安堵の息を吐く狩月。
「・・リース?」
「・・お久しぶりです、彩詩さん。」
「肩、貸すよ。」
「必要ありません。」
そう言い放つと、リースは出口に向かって歩き始める。
「って坊主!?」
狩月が倒れた。
「・・酷いな。」
「担いで行く。そっちのヒトも、足を痛めてるみたいだから。」

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