《MUMEI》
サヨナラです。
「なんで、まだ始まったばっかだろ……!」

俺は涙が止まらなかった。

遠巻きに俺達を見る人の群れも。

どうでもよかった。

……赤崎君

「!?」

声がする。

…泣いてくれてありがとう

…でも、そんなに泣かないで

…こっちがツラいよ

口は動いてないのに、確かに、声がする。

…私、赤崎君を好きなの

…だからありがとう

…名前を呼んでくれて

…赤崎君に名前を呼んでもらうのが、私の夢だった

…さよなら

なんでだよ。

「俺の名前も呼んでくれ!」

どうして。

「未来――――――!!」

俺にも言わせてくれよ。

ずっと、好きだったんだ。

それだけが、全てだったんだ。

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