《MUMEI》
リトマス
事故を起こしたのは私の父だった。
そして私の母はこの事故で死んだ。

そして父が運転する車は、2人の歩行者をも巻き込んだ。

その2人というのが山本の両親だった。

山本にとって私の父は憎むべき相手だった。

勿論父に悪意はなかった。

しかしそんなことは被害者達にとっては関係のないことだった。

山本はこう言った。

「人は人を殺してはいけない。例えそれが事故であっても」

そんな言葉を聞き私は必死に父を庇った。

−−お父さんは悪くない、悪くないんだよって何度も。


許されるミスと許されないミスはどうやって見分けるのだろう。
リトマス紙につけてはっきりと色が変わるような、そんな簡単なことではない。

6歳の私には到底分からない問題だった。


この事件の結果、父は3人もの犠牲者を出した。しかし悪意なき事故ということで、父は許されるということになった。

簡単に言えば、山本にお金を渡すことでこの事件、事故は解決。そういう事になった。

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