《MUMEI》
心の中身。
昔から、なんとなくだけど、人の考えていることがわかった。
この子はあの子のことが好きなんだなー、とか。
この子は今、ああいうことをしてほしいんだな、とか。
間違えたことは、なかった。
相手の思っていることを悟って、それを行動する。
そうやって今まで過ごしていた。
……そうしてしまっていたからかな。
ある日を境に、相手の感情だけでなく、心の中すらも感じれるようになった。
感じることなら、まだよかったかも。
聞こえてくる。
でも心を読むことには条件があった。
相手をわかること。
それと、強すぎる感情。
強すぎる感情はわかりたくないのに、勝手に流れ込んでくる。
厄介で、疎ましい。
なんで、こんなものが私に……。
一番ツラかったのは……仲の良かった薫くん、響介くん、新斗くん、美鶴ちゃんが……私に隠し事をしていたこと。
私を守るために隠し事をしているのはわかっているけど、悲しかった。
その隠し事がどんなものかはまだわからないけれど、私達5人がバラバラになった原因だっていうのは、わかってる。
話して、ほしかった。
私達は……またあの5人の関係に戻れるのかな……。
それを思って、また涙が溢れる。
叶わなかった。
みんなこの2年間で、変わってしまった。
みんなの心を見て、変わってしまっていた。

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