《MUMEI》
一任された
「くそじじめ……マジありえねー」
冬休みは七生父が足を怪我して全治一週間入院した。

その間は七生がバイトをして稼いでいる。掛け持ちで大変らしい。

大学の資金に少しでも支障があってはいけないそうだ。

しかし、七生の言うありえないは、七生父と看護婦さんと最近いいかんじだということだ。
それならまだいい、七生父は七生より勢いが激しい。仕事が休みのバツイチ子持ちの彼女を無理矢理デートに誘い、五歳の子供を七生に託して消えた。



久しぶりに七生が休みで少し顔が見れたと思えば片手に紗耶香ちゃん(看護婦さんの子)を連れていた。


「可愛いね。ジュース飲むかい?」
俺の家にとりあえず上がる。母さんは紗耶香ちゃんを見た途端になんだか上機嫌になった。紗耶香ちゃんもすっかり安心している。


「七生君に妹が出来たようなもんでしょ?」


「おばさん洒落にならないよ。」
七生が苦笑いする。
そういえば、再婚したら本当に紗耶香ちゃんが妹になるのか。
じゃあ俺の妹にもなるのかな……。



って、おこがましいぞ俺!

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