《MUMEI》

「あの、御嬢様」
「何?」
「幸せでした」
そんな一言が悔しかった。憎かった。
嬉しかった。
生きてほしいのに生きられない。
吸血鬼化、という手法だってある。
でもそれを咲夜は嫌がる。
それを無理矢理やるのは気が引ける。
生き返ったら何もない顔で
「有難う御座います」
と働くだろうから。
「御嬢様…?どうしたんですか?」
「…いえ、何でもないわ。そろそろねるわ」
逃げるように私は出ていった。

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