《MUMEI》
明かされた過去2
「分かるよ? 目が・・・寂しそう」
「そ・・・れは・・・」
心の核に触れられたような気がした。
見抜かれるはずが無いと思っていた。
周りから“ポーカーフェイス”と言われたほど、感情が読めないのに。
「私、夕季のこと、分からない」
「え?」
「何を考えてるか分かんないよ・・・」
「・・・」
「でも、目は正直にものを言うんだよ?」
そうだろうか。この気持ち、打ち明けたい・・・。
でも、怖い・・・。愛鈴の反応が・・・怖い。
「俺・・・怖い」
「何が?」
「話してもいい・・・いいけど・・・愛鈴の反応・・・それが怖い・・・」
「話して? ・・・少しは楽になるよ? 私、夕季のこと、心配だよ・・・。」
「・・・ああ。聞いてくれるか?」
「もちろん!」
「ありがとう・・・俺は・・・」
あのことを人に話すなんて思ってなかったけど、愛鈴なら、大丈夫な気がした。
根拠なんて無いけど、大丈夫な気がした・・・。
「・・・こういうこと」
「辛かった・・・よね? 私は! ・・・私は、お母さんもお父さんもいるから、本当の辛さは分かんない」
「・・・」
「でも、夕季には笑って高校生活を送って欲しいの。私がそんなこと・・・言えないけどね・・・」
「いや・・・ありがとう」
何があっても前向きな愛鈴。そんな彼女が羨ましかった。
そういう面で、愛鈴は芸能人はイヤ、と言うが、芸能人であって正解だと思った。
「あ! 夕季、もうすぐお昼の時間!」
「え? あ・・・ホントだ。どんだけ喋ってたんだよって感じ」
「ホントにね。さ、帰ろっか!」
「はいはい」
しかし、愛鈴の身に迫る本当の危機は、こんな程度のものでは無かったのだ・・・。

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