《MUMEI》 信じる。コツン、とミクちゃんの頭を拳を置くように叩く。 「馬鹿野郎。だから、違うって言ってんだろ」 ミクちゃんは頭を抑えながら「だって…………だって…………」と呻く。 「お前のせいだとかあいつらが言ったか?誰かが思ったか?」 ミクちゃんは首を横にふる。 「だろ?あいつらはそんなこと絶対に思ったりしない。誰のせいでもねえよ。少しは信用しろ。俺達を」 だが、ミクちゃんは頷かない。 「……あぁ、そうか。俺が何言っても……伝わんねえよな」 ミクちゃんは俺を神名薫と認めてないから。 「ミクちゃん。お前の好きな食べ物は?」 「え……、パエリアだけど……」 「じゃあ嫌いな食べ物は?」 「…………人参」 「知っている」 ミクちゃんの頭を撫でる。 「全部知っている。信じられないかもしれないが、俺も神名薫なんだ。あいつが知っていることは、俺も知っている」 一瞬、ミクちゃんの涙が止まる。 「今はいいさ。信じられなくても……」 俺は、『僕』のように笑えない。 それでも、ミクちゃんを安心させたくて、微笑む。 「この言葉は信じてくれ。神名薫は必ず、君を守りきって、助け出してやる」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |