《MUMEI》 穏やか。別の薫くんの表情は、穏やかだった。 安心させようとしたのが、伝わってきた。 正直、まだ薫くんだって信じられない。 信じられない、けど。 心が、少し見えた時、真っ直ぐに私を見ていた。 それは、私のよく知ってる薫くんと同じだ。 見入って、しまった。 いつの間にか、涙は止まっていた。 私も、自然に笑うことができた。 「か……」 薫くん。 そう発音する寸前に、扉が開いた。 前へ |次へ |
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