《MUMEI》
偽らない二人
未だに私のことは受け入れてもらえていない。
でも・・・それでも私は幸せだった。
夕季が居れば、何でも乗り越えられる気がしたのだ。
「今日、帰れる?」
「ちょっと待ってね・・・あ、うん!」
「じゃぁ、帰ろ。」
「うん・・・最近、仕事で・・・ごめんね」
「いいんだよ。こうやって帰れるときがその分楽しいし」
そう言ってくれる夕季が嬉しかった。
バカップルっぽいかも知れないけど、お互い恋愛経験の無い二人。
でも、これからだ・・・。
「寄り道しても良い?」
「え?あ、別に良いよ! 今日は暇だし・・・」
「じゃぁ、行こう」
「どこ行くの?」
「ん〜それは内緒」
「え〜」
「良いから」
そう言って連れてこられたのは霊園だった。
「ここ」
「どうして?」
「ちゃんと母さんに報告しないとな」
「・・・?」
夕季はあるお墓の前で止まった。
分かる・・・夕季のお母さんが眠っているのだと。
夕季は静かに手を合わせた。
「母さん・・・俺、やっと大切な人が見つかったよ」
「ゆ、夕季・・・」
「ほら、愛鈴もあいさつして?」
「う、うん・・・。あ、私たちのこと、見守っていて下さい・・・」
私も手を合わせた。
「夕季、これから、何でも隠さずに言おうね」
「ああ」

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