《MUMEI》

リーマンがどいたおかげで、オッサンと俺の間に遮るものが無くなり

まっすぐにオッサンの姿が見えた

うわー、やべぇ…

下手に目を合わせたら因縁をつけられると思ったので、すぐに俺は眠ったふりをした

一瞬しかオッサンの姿を見なかったけど

強烈なインパクトがあった

そのオッサン、50歳くらいでパンチパーマ

見るからにモロ893

ビールっ腹をつきだして、足を開いて偉そうに座ってた

半袖のシャツを着てたんだけど、腕には刺青があった

「オメエらなにジロジロ見てんだ!ぶっ殺すぞ!!」

周囲の乗客の注目を浴びたのが気に障ったのか、オッサンは辺り構わず怒鳴り散らした

車内の空気が凍りついた

チキンな俺は眠ったふりを続けることしかできなかった…

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